2023.12.22
先生ブログ
【就職】安全のために、鉄道業界で行っていること|里口邦夫
鉄道業界において、何より重要なのは「安全」です。
どんなにすばらしい百万回のサービスを行ったとしても、たった1回の不注意により事故を引き起こしたら積み重ねてきた百万回のサービスは無意味になります。
毎日の安全のために、鉄道業界では愚直に一つひとつの動作を行い、お客様に安心・快適にご乗車いただくために、日々努めています。
私は小さい頃から鉄道が好きで鉄道会社に入社したのですが、入社してはじめて「安全」のために実施していることが多くあることを知りました。
本記事では、皆さんにそのほんのわずかな一例をご紹介します。
あまり知られていないであろう「停止目標の清掃作業」をご紹介します。
停止目標の清掃作業はレールとレールの間にある停止目標をきれいに拭く作業です。車両の床下機器は油を使っていることも多く、停止目標に汚れが付着していきます。放っておくと、停止目標が見えなくなり運転士が駅で停止する場所がわからなくなります。よって、決められた期間ごとに終電後、駅にいくつもある停止目標を丁寧に拭き取ります。
ホームがいくつもある駅の場合は、拭く数も多く大変な作業ですが、重要な作業のため手を抜くことなくやり遂げます。
よく車掌が「駅出発時と到着時に窓から顔を出している姿」を見ることがあるかと思います。
これは車側確認(鉄道会社によって名称は様々)と言います。駅出発時と到着時に運転士は前方しか見ることができないため、車両側面を車掌が目視し、もし危険が生じた時は車掌が非常ブレーキをかけます。
実際に顔を出していると危険な状況が多々あります。冬は寒く、夏は暑いので顔を出すのが辛いと思う時もありますが、万が一の時を想定し、毎回安全の確保を図っているのです。
運転士の仕事は、ほぼすべて安全に関わる仕事です。
列車を目的地まで安全に運転するために「目で確認し、口で喚呼し、手でハンドルを動かす」と複数の動きを同時に行います。なかでも喚呼は、「出発進行」「定刻」「次は○○停車」「〇号よし」「閉そく進行」「〇号よし」「セクションよし」「停車」「〇両停車」等と覚えること自体も大変で、声が枯れるほど駅間で喚呼しなければならない時もあります。
もちろんすべては、安全のためです。
今回ご紹介した内容は一例に過ぎませんが、鉄道に従事する者は毎日手を抜くことなく業務を遂行しています。
鉄道業界を目指す方は、決められたことは必ず守る、ということを意識しましょう。時間を守る、約束を守る、挨拶をする、交通ルールを守る、などすべてです。それらのことができない方がお客様の命を守ることなどできません。
鉄道業界で働くというだけで重い責任がかかります。好きであればこそ、責任感を持てるプロ人材へと一緒に成長しませんか?
この記事を書いた人
里口 邦夫(さとぐち くにお)
鉄道サービス科 学科長 / 近畿日本鉄道株式会社 / 運転士
入社10年目。飲食・DM業界を経て「近畿日本鉄道株式会社」に入社。近鉄では駅係員→車掌→運転士を経験。その後本校に入職し、鉄道科講師へ。
鉄道系科目、キャリアガイダンスを担当。モットーは「何でも相談できる雰囲気づくり」を心掛けること。